ひよこ図書館

とある学校司書のブログです。本の紹介、学校司書業務に役立つWordやExcelの豆知識など。

図書だよりに関わる著作権

今回は、図書だよりに関わる著作権のお話をしたいと思います。

 

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少し前に研修で教わったこと&気になったことを調べた程度なのですが、

参考程度に見ていただければと思います。

ただし、法の専門家ではありませんので、ご了承ください。

※ここでは、「著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)

次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。

 一 憲法その他の法令」に基づき、法令を載せます。

書誌情報を載せていい?

いわゆる書名、出版社名、著者名、発行年などを言います。

本を紹介する時、やっぱり書名や著者名などは欠かせないものですよね

(書いていないと何の本の話をしているか分かりませんし…)

結論から言いますと、

書誌情報は著作物ではありません。

許可を取らずとも自由に図書だよりに載せることができます

著作物とは

著作権法第2条第1項第1号より『思想又は感情を創作的に表現したものであつて、

文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。』

著作物にはどんな種類がある? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRICに『題名も通常は著作物として保護されません』とあります。

よって、書誌情報は図書だよりに掲載することができます。

書影を載せていい?

書影とは、本の表紙のことです。結論から言いますと、

本の貸出を促進するという目的のためならば、図書だよりに表紙を載せることは慣例上無承諾掲載できます。表示の大きさは、50平方センチメートル以下です。

(正方形の場合なら縦7×横7㎝までならOKということになります)

※参加した研修では、D社とJ◯◯所は厳しいので載せない方が無難とのことでした。

まず、慣例上無承諾で~という根拠は、一般社団法人日本書籍出版協会HPhttp://www.jbpa.or.jp/guideline/readto.html

「お話会・読み聞かせ団体等による著作物の利用について」

の3ページに載っています。

※慣例上無承諾でよいとしている児童書四者懇談会に参加している団体は
日本児童出版美術家連盟 …会員数310人

日本児童文学者協会…会員約900名児童文学の作家、詩人、翻訳家、評論家

日本児童文芸家協会…正会員500名
日本書籍出版協会児童図書部会…423社の出版社が加入 

ということでかなりの出版社、作家さんがOKと言ってくださっているようです。

例えば、日本書籍出版協会児童図書部会に加入している

ポプラ社のHPではこのようなページがあります。

著作物の利用について | ポプラ社

書影を使いたい時は…

書影を使いたい! 書誌を使いたい! | 版元ドットコム


本の紹介のためであれば、問い合わせは不要だそうです。なんとありがたい!

載せていいサイズは?

 図書だよりに掲載するには、

著作権法施行規則の一部を改正する省令の第4条の二』が関わってきます。 

『図画として法第四十七条の二

(法第八十六条第一項 において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)

に規定する複製を行う場合において、当該複製により作成される複製物に

係る著作物の表示の大きさが50平方cm以下であること。 』

印刷物の場合、正方形の場合なら縦横7㎝までということになります。

具体的な数字の根拠も発見でき、とてもスッキリしました。

研修では、50平方cmという数字は聞いたのですが、

それが一体どこからかなのか分からずもやもやして、今回、調べてみました。)

貸出のための複製とは?

 ここで出てくるのが、

第47条の二(美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)です。

『美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者

その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が、

第二十六条の二第一項又は第二十六条の三に規定する権利を害することなく、

その原作品又は複製物を譲渡し、又は貸与しようとする場合には、

当該権原を有する者又はその委託を受けた者は、その申出の用に供するため、

これらの著作物について、複製又は公衆送信 (中略)を行うことができる。』

 

短くして学校図書館に適応するように書くと、

「貸出しようとする目的であれば、写真を載せてもOK」

ということになります。ただし、サイズは守りましょう。

公共図書館学校図書館は違う?

司書過程を履修したことのある方なら暗記したであろう著作権法第31条*1

ですが、なんと31条には小学校・中学校の図書館は含まれていないそうです。

これを聞いた時は、驚きました!私だけでしょうか(笑)

根拠を調べたところ、 著作権法施行令には、

『二 学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 の大学又は高等専門学校

設置された図書館及びこれに類する施設』とあるからのようです。

小・中学校における著作権

小学校・中学校では、

著作権法第35条「学校その他の教育機関における複製」が当てはまるそうです。

 『学校等の授業で使用するためであれば、以下の条件を全て満たせば

著作権者の許諾を得ることなしに著作物を複製できる。
 1.営利を目的としない教育機関であること
 2.授業を担当する者又はその授業を受ける者が複製すること
 3.本人の授業で使用すること
 4.授業で必要とする限度内であること
 5.既に公表された著作物であること
 6.著作物の種類・用途、複製の部数・態様に照らし

  著作権者の利益を不当に害さないこと
 7.慣行があるときは「出所の明示」をすること』

1の「営利を目的としない教育機関」というのは、

国立、公立私立は問わず、小学校中学校のことです。

図書だよりは、営利を目的としていませんし、

本文や挿絵をコピーして載せるわけでもありません。

著作権者の利益を守っている範囲と言えるでしょう。

 

参考文献

 森田盛行(2013)「はじめよう学校図書館8気になる著作権Q&A」全国学図書館協議会.
日本図書館協会著作権委員会(2006)「学校図書館著作権問題Q&A」日本図書館協会.

 さて、いかがだったでしょうか?

著作権は調べてみると、奥が深くて頭がくらくらしてきます(笑)

でも、知って、なんだか安心しました。

とても長くなりましたが、閲覧ありがとうございました。

*1:図書館における複製:国立国会図書館及び図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この項及び第三項において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。