今回は、ブックトークの繋ぎ言葉とブックトークのテンプレートを紹介します。
繋ぎ言葉とは?
本の紹介をうまく繋げる言葉です。
なんとなくそう名付けていたのですが、
いくつかのブックトークの本を見ていても
「繋ぎ(繋ぐ)言葉」や「繋ぎが大事」と出てくるので
おおむね通じる言葉かと思います。
ブックトーク繋ぎ言葉
使用例は、「桃太郎」から次の本に繋げるように書いてみます。
この例は、私が実際にブックトークで使っている表現だったり、
本にもよく登場している表現です。
※ただし、種類分けは私が勝手にしたものです。
Aには題名を入れてもいいですし、
登場人物の名前、物、作中の表現などを入れても使えます。
「桃太郎」をイメージしてご覧ください。
Aは今の本、Bを次に紹介する本としています。
<並列>Aは○でした。Bも○です。
例1)桃太郎は、鬼退治の話でしたね。この本も鬼退治の話です。
例2)桃太郎は、仲間を集めて鬼退治する話でしたね。
この本も仲間を集めて~。
例1では次も鬼退治の話、例2では、仲間を集める話に繋がります。
ほとんど表現は同じで、並列して繋げる言葉ですが、
鬼退治にポイントを置くか、
仲間を集めにポイントを置くかで印象が変わってきます。
こういった微妙な表現の違いで、
ブックトークのテーマに合うように調節していきます。
「~と同じで」「~と似ていて」という言葉もよく使います。
<比較>Aは○でした。でも、(反対に)Bは~。
例)桃太郎は鬼退治の話でしたね。
でも、鬼と仲良くなっちゃう話もあるんです。
導入の本から本題のテーマにバッチリくる本に
うつる時のように、流れを変える用途で使います。
”でも”を多様するとブックトークのテーマが
あっちらこちらに散らばってしまうので
多様はしない方がいいです。
<展開>Aは○でした。では、Bは?
例)桃太郎は、桃から生まれましたね。
では、ちからたろうは何から生まれましたか?
Aから展開して次に繋げたい時は、このような言葉を使います。
「では」は「さて」に置き換えることもできます。
一瞬「あれ?」っとゆさぶりをかけて、
次の本へのわくわく感がでるような気がします。
<引用>Aには○○が出てきました。B は~。
例)桃太郎には、犬、猿、雉が出てきました。
次は犬の出てくるBという本を紹介します。
登場人物だけでなく、登場する物、
作中に登場する表現などでも繋ぐことができます。
<引き出す>Aは○でした。実は~。(Bの本へ)
例)桃太郎のお供は犬、猿、雉ですね。
実は、犬、猿、雉以外のお供が出てくる桃太郎があるんです。
※実際にあります
ここでは、違う桃太郎に繋げていますが、
全く違う本に繋げることもできます。
実は~と始めると、なんだか新しい発見のようで
興味をひくことができると思います。
<問いかけ>どうして○○なんでしょう?それはね…。
例)どうして同じ桃太郎なのに、出てくるお供が違うんでしょう?
それはね…。(理由やBの本を読むと分かります などと繋げる)
桃太郎の例以外で書くと、
どうして○○さん(作者)は
空のお話をたくさん書いたんでしょう?
それはね、(次の本を持ちながら、)
この本に書いてあります。○○さんは~で のように続けます。
作者の意図や作者の生い立ち、作成秘話などに触れます。
<問いかけ>Aといえば?(Bの本へ)
例)桃太郎に出てくる食べ物といえば?
そう!きびだんご。
ずっと司書が話しているだけでは退屈になってしまうので、
クイズまではいかないものの、問いかけもします。
ここでは桃太郎という誰でも知っている作品ですが、
ブックトークでは、知らない作品を紹介する事の方が多いです。
そのため、次に繋げたい言葉を意図的に混ぜておきます。
作中に出てくる食べ物や動物、道具、登場人物など
色々なパターンで使うことができます。
ここでは次に繋げたい言葉を引き出すように
言葉選びを特に気をつけます。
もし、全然見当違いのことを言った児童がいても、
「違います」とは言いません。
「○○さんはそう思ったんだね」
「おー!確かに。そういう考えもあるね」などと
一言だけコメントをします。
ここではあまり時間はかけたくないので、
大多数が分かっている場合は
「では、分かる人、せーの」とします。
少数しか分かっていない場合は、
児童の小さな呟きを拾って、
「今、○○と言ってくれた人がいました」
「今、○○って呟きが聞こえてきました」とすることもあります。
<問いかけ>○○と思ったことはありませんか?(Bの本へ)
先程の「Aといえば?○○って~。」に続けて、このようになります。
例)桃太郎に出てくる食べ物といえば?
そう!きびだんご。
きびだんごを食べてみたいと思ったことはありませんか?
この本に作り方が~。
自分の気持ちや体験、経験を問いかけてみます。
「○○な気持ちになったことはありませんか」
「もっと○○について知りたいですね?」
「○○したことはありませんか?」などです。
作中の物や人物、出来事、作者など幅広く展開して、
次の本に繋げると思います。
低学年は、ここで自分のことを話しだしてしまう子が多いです。
そうなった場合は、
「うんうん。みんなのお話も聞きたいから、休み時間に教えてね。
じゃあ、ブックトーク、続けてもいい?」と一呼吸置きます。
テンプレートの例
ブックトークが完成した時は
手書きでルーズリーフに書きますが、
ブックトークをしたあと、
改めてパソコンで打ち直し、シナリオを残しています。
次の年も使えますし、自分が異動しても使えます。
できたシナリオは司書部会や研修会などで
他校の司書さんとシェアしています。
テンプレート例1
シナリオを続けて書くパターン
とにかく時間がない時は、ひたすらシナリオを打ち込む
このパターンで作ります。
この場合は、ページの最後に使った本のリストをつけます。
テンプレート例2
本とテンプレートを並べて書くパターン
私は2の方が好みなので、書くことが多いです。
シナリオの最後に…
<必ず書いていること>
ヘッダーに年度と学校名、氏名を入れる
実施学年、テーマ、時間、本の冊数
先生からの依頼内容(できるだけ詳しく)
導入の挨拶や会話など
紹介した本の書誌情報
シナリオ
司書の動作(○ページを見せる、○ページ○○という段落から読むなど)
児童の反応・改善点
フッターにページ番号をふる
※本とシナリオを並べた書いたシナリオの場合は、本のリストはナシ。
ただし、紹介した以外で用意した本がある場合はリストをつけます。
※児童の反応・改善点は
「この本が人気があった、この本は難しかった
○冊目の紹介が長かった、クイズが長引いてしまった
もっとシンプルな問いかけがよいかも」 など
また次回する時に役立つようなメモをしておきます。
授業関連のブックトークは毎年するので、
来年度、これを見返してまたブックトークを練り直します。
※こだわりはヘッダーとフッターですかね。
他校と交換するときに学校名と氏名は必須なので、
毎度の入力を省くために入れています。
ページ番号も他の方がみて分かりやすいようにふっています。
ヘッダーとフッターの過去記事を貼っておきます。
参考図書
学校司書と先生のための すぐできるブックトーク: 小・中学校・高等学校のわかりやすいシナリオ集
- 作者: 渡辺 暢惠,小柳 聡美,和田 幸子,齋藤 洋子
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2012/03/31
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
今日からはじめるブックトーク -小学校での学年別実践集- (シリーズ学校図書館)
- 作者: 徐奈美
- 出版社/メーカー: 少年写真新聞社
- 発売日: 2010/06/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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授業で役立つブックトーク: 中学校での教科別実践集 (シリーズ学校図書館)
- 作者: 上島陽子
- 出版社/メーカー: 少年写真新聞社
- 発売日: 2012/11/19
- メディア: 単行本
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新版・授業が生きるブックトーク―児童書を使った楽しい授業指導案 新学習指導要領対応版・小学校1年~6年生
- 作者: 鈴木喜代春,ブックトーク研究会
- 出版社/メーカー: 一声社
- 発売日: 2011/02
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 1回
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ブックトークのきほん――21の事例つき (TCLブックレット)
- 作者: 東京子ども図書館
- 出版社/メーカー: 東京子ども図書館
- 発売日: 2016/08/09
- メディア: 単行本
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本のあらすじだけが書かれている本ではなく、
繋ぎ言葉も書かれている本を参考にしました。
さて、いかがだったでしょうか。
繋ぎ言葉の実例を出すのがなかなか難しく、
頭をひねっていました(笑)