ひよこ図書館

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感想文の本選び、その時司書はどうする?

今回は、「読書感想文の本選び、その時司書はどうする?」の記事です。

 

 

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司書はどうする?

授業時間に読書感想文の本を借り来た時、

夏休み中の開館日に「読書感想文の本が選べない!」と

聞かれた時の対応する時の様子です。

 

だいたい選び方そったように児童に聞いてみます。

hiyoko-library.hatenablog.jp

 

 

よく本を読んでいる児童なら…
【読んだことのある本を引き出す】

 

「読んだことのある本がいいと思うよ?

最近読んだ本で面白かったから、

人にすすめたいなぁと思う本はありませんか?」

日頃、あまり本を読んでいなさそうな児童なら…
【好きなこと、気になることを聞く】

 

「好きなこととかハマっていることはありませんか?

何か習ったり、クラブに入ってる?」

 

「○○を習っているだね。すごい!」

「○○の本がこの場所にありますよ。

○○さんはこういう練習をしてたんだって~

自分と比べて書いてみたらどうかな?」

 

どれもヒットしない児童には…
一期一会作戦

「ここにおすすめの並んでいますよ。

パッと見ておもしろそうだなーと感じた本はない?」

「表紙で選んでもいいんだよ~

でも、選んだら読めるかどう中身も見てみてね」

 

どうしても決まらない児童には

「(司書がいくつか手にとって見せ、)

この中で一番読んでみたいのはどれ?」

 

 児童が選んだら

「(これね、○○なことが起きるよ。

(少しあらすじにふれ、読むきっかけを作る)

おもしろいから楽しく読めると思うよ~」


注意点

どの場合でも

「私(司書)がすすめたからって

これにしなくてもいいんだよ。

選ぶのはあなただからね。本は変えてもいいよ」

ということを言っています。

強制されて書くのは一番ツライと思うので。

 

 

司書はどうする?コーナー作り編

 

 学期中の休み時間には

貸出カウンターがとても混雑して、

とてもじゃないですが、上記のように

一人ひとりに対応することは難しいです。

そのため、夏休み前や夏休み中、2学期は

コーナーを作って対応しています。

 


1:学年別に読書感想文におすすめのコーナーを作る

(低学年・中学年・高学年別に

 ブックトラックやコンテナに入れて館内に置いておく

 特に高学年は好きな物が多様なので

 各分類への案内や書架の地図も貼っておく

 ”◯の本は△類の棚にもあるよ”など)

 

2:”選び方”+”選んだあとに”を掲示しておく

 

3:読書感想文の書き方プリント

 (学校で配布されている物)を掲示しておく

 

4:課題図書を展示する

(課題図書のポスターや新聞記事、チラシなども一緒に)


余裕があれば5~7

 

5:おすすめコーナーに置いた本のリストを作る

 

6:選び方+書き方+おすすめ本リスト+課題図書を合体させた
 おたすけプリントを作り、テイクフリーで置いておく

 

7:ちょっとしたあらすじを書いたPOPを作る


書き出してみると、とても手厚いですね(笑)

やりすぎなような気もしますが、

1と2をするだけでも

児童はだいたい自分で選んで借りにきます。

 

コーナー作りは大変ですが、コーナーがあると、

感想文の相談の児童の対応だけで休み時間が終わってしまって

貸出ができないという事もなくなり、楽になります。

 

 

今年のコーナーの写真を撮っておけば、

来年度の自分(または次の司書さん)も

簡単にコーナー作りができます。

できれば、コーナーの全景とどの本が置いてあるか

分かるように寄って撮った写真があるとよいです。

 

もし、時間があるなら、

5に書いたようにリストを作っておくと、

どの本をコーナーに置くかすぐに分かります。

児童・教師・保護者におすすめの本を聞かれたら

すぐ渡せるというメリットもあります。

 

 

よくすすめする本

・本人の好きなことに関連した本

・同世代が出てくる本

・内容がヘビーすぎない友人関係の本

あまりおすすめしない本

歴史上の人物の伝記

現代人はすすめますが、

歴史上の人物の伝記はあまりすすめません。

○○はこんなことをしました、△をしました

と功績の羅列になることが多いからです。

 
図鑑・写真がメインの科学読み物

書ける子は書けます。

しかし、おすすめ本を聞きにくる児童は

あまり本を読まない児童が多いです。

厳しい言い方ですが、そういった児童は

図鑑を読んで感想文を書く文章力が

見込めないかなと思っています。

 

ただし、「本はあまり好きじゃないけど、

そのことについてならどれだけでも話せる!」

という場合には問題ありません。


短編すぎる短編

短編で書くことは可能です。

最近では短い1話が3ページ~5ページくらいの

短編集が色々と出ています。

そのようなお話の場合、”書けない”児童に

とっては難しいと思います。

「読むのは楽だけど、お話が短いから

自分で感じたことをいっぱい

書かなくちゃいけないんだよ?大丈夫?」

という感じで一応確認をします。

 


戦争・平和系の物語

「○○がかわいそうだと思った」
「今は平和だと思った」
「平和になるようにけんかしないようにしたい」

という感想が多くなりがちです。間違っていません。

それが児童のリアルな反応だと思います。
でも、さらにもう一歩踏み込んだ感想文を書いてほしい。

(そしてそういうのが読みたい!)

 だから、戦争と平和に関連した物語はあまりすすめません。

物語よりもルポルタージュのほうが

これからについて考える機会になっていいかなと思います。

 


さて、いかがだったでしょうか。

実は毎年、感想文を審査しています。

これまでたくさんの感想文を読んできて、

「この本で書いたの?!」と驚く作品はほとんどなく、

等身大の本を読んで書いた場合が大多数です。

「感想文だから」と気負わず、

読んだことのある本や自分の好きな物にちなんだ本を

読んで書いてみるのがいいのではないかと思います。

 

次回は感想文のおすすめ本を具体的に紹介する予定です。