今回は学校司書の引き継ぎ資料を紹介します。
はじめに
新規採用学校司書向けに全てを書くことが難しかったため、
同一自治体内での異動を想定して書きます。
研究会や司書部会など司書が集まる会がない自治体では
司書間で相談することは難しいかもしれません。
でも、引き継ぎは司書間で共通でできたらいいですよね。
私がどんな資料を残しているか、
私が異動先でどんな資料があって助かったかなどを
中心に書いていきたいと思います。
ただ、自分の経験した範囲の事ですので、
自治体や学校によって必要ない資料や
作られていないなどもあるかと思います。
あくまで参考程度にご覧ください。
自治体で統一したらよい資料
1:労働に関する資料
これは自治体で統一であったらよいというか、
自治体から出ていないとと困るというものです。
例:勤務時間、各種休暇の取得、交通費申請、司書の業務範囲、
所属課の担当者の連絡先、職員としての規則、給食費など
司書の業務範囲について、
もしも何も資料がない場合は、
※ここは一個人のブログなのであえて直リンクはしませんが…。
今年の全国学校図書館研究大会で提案されたものです。
自治体や学校によって業務範囲は違いますが、参考になります。
2:蔵書管理システムのマニュアル
3:図書館の管理に関すること
・提出している統計や調査などに関すること
・予算の執行(発注などお金に関すること)
・本の装備の方法
・除籍、廃棄などの規則
・選書の基準
・相互貸借の手順、規則
・パソコン、プリンターなど機器の使い方、説明書など
各校で作成して引き継ぐ資料
1:4月当初の業務
4月に何をしているか、何をしなければならないのかは
一番知りたい所だと思います。
詳しくは過去記事をご覧ください。
2:図書館の約束
オリエンテーションのプレゼンがあればそれを残しておけば
たいだい大丈夫だと思います。もしプレゼンがなければ、
児童用、教師用の約束をまとめて置くといいと思います。
・開館時間(利用できる時間)、貸出規則(1人○冊○週間)、
予約の規則(1人○冊)、リクエスト(1人○冊)
マナー、貸出カードの管理方法についてなど
+αとして裏メニュー
(理由があって特別な対応をしている児童などについて)も
書き残しておくとよいです。
教師向けについては、
児童向けと合わせて、授業中の図書館利用についての約束
(事前に予約する、読書の時間の流れ、読み聞かせなどの
対応について書いておくとよいです)
3:各種パスワード、問い合わせ先について
本当は書いてはいけないのかもしれませんが、
なにせ1人職ですので…。
きちんと引き継いでおかないと次の方が困ります。
・IDやパスワードが必要なもの
図書館PC、職員室PC、パソコンルームPC
図書購入用サイト、公共図書館のカード番号、ネット用ログインID
・まとめておいたらよい連絡先
司書・司書教諭(全校分)
自治体の所属課または関係する課
公共図書館、蔵書システムサポート、ボランティアさん
※連絡先は優先順位をつけておくとよいかもしれません。
全員に一斉送信ではなく○○さんに送るとよいなど。
4:1ヶ月の業務内容
ひと月の流れを書いておくと、
見通しを持って仕事ができると思います。
詳しくは過去記事をご覧ください
5:1年間の業務内容
学校の行事予定をコピーして、
それに「読書週間」や「コンクール」など
図書館に関わる予定を書いておきます。
たまに行事で係が当てられることもあるかと思うので、
そういった係についても書いておくといいです。
逆に司書が参加しなくてもよい
行事があれば、それも書いておくと親切だと思います。
これは今後また別の記事にしたいと思います。
6:利用実績、調査、日誌、分掌の提案文書、おたよりなど
利用実績(統計)や自治体からの調査など
自治体や外部に提出しているものは
すべてとっておきます。
利用実績を書く上で欠かせない
日誌も保管しておきます。
特に調査などで開館日を聞かれる場合も多いため、
一年間の数字をまとめておくといいと思います。
分掌での提案を見れば、
勤務校での図書館の方針が見えてくると思います。
司書教諭と司書が一緒に作っている学校と
司書教諭が作っている学校があるかと思いますが、
どの場合でも分掌での提案は保管して引き継ぎます。
おたよりも渡します。
7:授業や読書推進に関わる資料
・オリエンテーションのプレゼン
(4月のオリエンテーション、図鑑、百科事典、参考文献など)
・ブックトークのシナリオ
・調べ学習のワークシート
・学年貸出のブックリスト
・授業で作った成果物(ショーウィンドウ、POPなど)
学年ごとにファイルに綴ってあると見やすくなります。
ブックトークやブックリストについては
先生によって要望が違うため、
その時の要望も書いておくと参考になります。
授業で作った成果物は
「昨年はこういった本を学年貸出して、
このようなPOPを作ったのですが~」と
先生に見せるために保存しています。
昨年の例をお手本して授業をすすめる場合が多く、
とても喜ばれます。
8:蔵書、選書、分類、寄贈、学級文庫、雑誌などについて
勤務校の分類比率や蔵書冊数、
分類や別置について書いておきます。
寄贈図書の収集方針、○○文庫など
特別なコーナーなどの扱い、
学級文庫の扱いについても書いておきます。
新聞や雑誌の保管期間、使用用途、
廃棄方法もまとめておくといいと思います。
また、次年度に注文予定だった本のリストも
残しておくととてもいいと思います。
前任の方が残してくれてとても助かった経験があります。
9:展示や掲示、イベントなどの写真、飾り付け
1年間の業務、分掌での提案とも関わってきますが、
展示や掲示、イベントなどの写真があるとよいです。
図書館独自で行う場合がほとんどですが、
平和の取り組みや人権週間などの
学校のイベントとコラボする場合もあります。
特にそういった場合はこれまでの写真があると
次の方も助かると思います。
勤務校で作った飾りはそのままおいておきます。
月ごと、行事ごとに整頓しておくと
次の方も使いやすいです。
時間があれば、飾りとともに
実際に飾った写真を一緒に保存しておくと
わかりやすいです。
10:図書委員会や掃除などについて
一人で任されることはありませんが、
委員会でしていること、
図書当番にどんなことをしてもらっているか、
掃除で気をつけていることなどがあれば書いておきます。
11:学校独自のこと
例:学習会、研究会への参加
歓送迎会などの会について
親睦会などの会費について
職員の冠婚葬祭について
PTA、親子行事について
このあたりとても微妙な所ですよね。
私はこのあたりの事を前任者から聞いておらず、
とても困ったことがありました。
些細なことですが、参加か不参加か、
どう振る振る舞っていたかなどを
書いておくと次の方の役に立つと思います。
引き継ぎ資料を作るコツ
こうして書き出してみるとたくさんありますね。
引き継ぎ資料を作るときのコツは、
・業務の引き継ぎ資料はひとつのファイルに綴る
・紙と電子データで保存する
・電子データの整頓も忘れずに! の3つです。
業務の引き継ぎ資料はひとつのファイルに綴る
具体的には
・学校司書引き継ぎ資料
※各校で作成して引き継ぐ資料の1~5、8、9、10、11
・利用実績
・分掌での提案文書
・おたより
・学習関連の資料 のファイルができるはずです。
学年関連の資料は
1~6年生で6冊か低学年・中学年・高学年で3冊など
量に分けて、ファイルで保存しておくのがよいと思います。
引き継ぎ資料や学習資料はクリアポケットのファイルがおすすめです。
追加したり、順番を入れ替えたりできます。
紙と電子データで保存する
紙が必要な時と電子データが必要な時があるからです。
例えば、昨年使ったワークシートをそのまま使う場合は
ファイルからワークシートを抜き出してコピーするのが楽です。
でも、昨年とちょっと変えたいと思った時、電子データが必要になります。
そのため、紙も電子データも保存しておきます。
電子データの整頓も忘れずに!
今年度末で異動の可能性が高いので、マニュアルと引き続き書類とデータを整頓しています。いずれブログにしますが、先行でいくつか。授業関連のデータは学年別のファルダへ。さらに、○年○月教科名単元名で保存するのが個人的に好きです。実施月が分かると資料準備の目安になるので。
— ひよこ司書 (@hiyoko_lib) February 28, 2019
以前Twitterで呟きました。
図書館や職場室のパソコンを思い返してください。
パソコンのデスクトップ、フォルダ内は整頓されていますか?
引き継ぎ資料は準備してあっても、
パソコンの中が整頓されていないと次の方が困ります。
デスクトップ(例)
日々必要なのは
・蔵書管理システム
・システムのトラブルシューティング(ショートカットキー)
・日誌(ショートカットキー)
・選書データ(ショートカットキー)
・ゴミ箱 くらいだと思います。
次の方にわたす時には
引き継ぎ資料のショートカットキーもあるといいですね。
ショートカットキーを置くようにしています。
万が一削除されても大丈夫なので。
フォルダ改装(例)
・学習関連資料の場合
学習関連フォルダ
>1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生
オリエンテーション 調べ学習
※学年ごとにフォルダを作る
4月のオリエンテーションや
4~6年生など学年関係なく使う調べ学習フォルダを作る
>2年生のフォルダの中身
○月生活野菜の育て方図鑑プレゼン
○月生活野菜の育て方図鑑プリント
データの保存名のつけかた
学習関連のデータは
月、教科名、単元名の名前をつけて保存しておきます。
複数の年度で実施したもので、
2018と2017が全く同じ内容なら保存する必要はありません。
2018は教科書に出てくる本を紹介して、
2017は先生のおすすめを紹介したなど違う場合は保存します。
実施月がわからない場合は
教科名、単元名で保存しておくだけでも
十分データが探しやすくなります。
プレゼンとプリントでは拡張子が違います。
分かるかとは思うのですが、探しやすいように
「プレゼン」「プリント」などの名前をつけます。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
今後、私がまた異動になった時に
「これも必要だった!」ということがあれば、
書き足しておきます。