ひよこ図書館

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教科書が変わる時、司書は何をするの?

教科書が変わる時、司書は何をしたらいいのかご紹介します。

 

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教科書を知る

自治体により採用している教科書は違います。

まずは、どの出版社の物なのか知る必要があります。

知っておきたいのは国語、社会、理科、道徳、生活あたりです。

資料を提供することが多い教科を中心に知っておくといいですね。

図工、英語、音楽も知っておくといいかもしれません。


当然のことながら、教科によって出版社が違います。

稀ではありますが、○年までA社だったのに

教科書改定時にB社に変更となることもあるようです。

教科書を見る

学校や公共図書館などで教科書展示会があります。

すべての出版社の教科書を見ることができます。

その際、自分の自治体で採用している教科書を中心に見ておきます。

ざっと見るだけでも「あの単元がない」

「時期が変わっている」など発見があると思います。

じっくり見たい所ですが、

展示会は日程が限られていますし、仕方がないですね……。


出版社のHPを見る

皆さんにぜひ見てほしいです!!


ホームページを見る理由は2つあります。


1:教科書の見かたを知る

2:資料をダウンロードする

 

1:教科書の見かたを知る

正直な所、教科書を見ても

「教科書の見かたが分からない」と思うかもしれません。

そんな方にはぜひ出版社のホームページを見てみてほしいです。

ホームページには、教科書の見かた、どこが変わったのか

という事が書いてあります。

これを見ておくと

「教科書のここに目標が書いてあるんだな」ということが分かり、

「これは○○を書く学習なんだ」

「じゃあこんな資料を提供できるかも?」と考えることができます。

ぜひ一度目を通してみてください。


2:資料をダウンロードする

出版社のホームページはお宝の山です!(笑)

初めに紹介した国語、社会、理科、道徳、生活を中心に、

必要な資料をダウンロードして、目を通してみてください。

国語ですと、図書館の年間計画の例があったり、

教材末(教材末に○○を読んでみましょうみたいなコラム)の紹介図書一覧

巻末(教科書の後ろに本が紹介されているページ)の紹介図書一覧 があります。

特に国語では年間計画や紹介図書一覧が重要です。

 

予算要求をするために

図書館にとって切実な問題です。

教科書が変わるということは、

提供する本が変わってきます。予算が必要です。

出版社からダウンロードした資料をもとに、

どんな本を買い足すのか検討し、

予算要求をする必要があります。

予算要求の資料を作るのは司書教諭という学校も多いでしょう。

ですが、提供する選書するのは司書、

どんな本が足りないかわかるのも司書。

ということで司書の力を生かしていきましょう。

予算要求は秋頃が締め切りになるので、

夏のうちに準備しておくといいです。

 

予算要求に向けての準備

1紹介図書一覧の所蔵有無(国語)

教材末や巻末資料を中心に

所蔵しているかどうか確認します

2所蔵がなかった図書のリストを作成(国語)

ダウンロードした資料一覧を

加工するのが手っ取り早いです。

3現在購入可能な図書を調べる

いつも購入しているサイトを使って調べます。

4現在購入可能なリストを作成

現在購入できない図書も残しておきます。


5関連して購入したい図書の検討


国語は紹介図書の掲載がありますが、

社会、理科、生活などではほとんどありません。

そのため、出版社のホームページから

ダウンロードした資料をもとに、

「教科書で防災が取り上げられているけれど、

防災の資料が足りないかも?」など

自校の蔵書を振り返ってみる必要があります。

道徳は絵本や本がもとになっていたり、

著名人が登場している場合もあるため、

関連して購入したい本を検討しやすいです。

 


6予算要求の資料作り

教科書改定に関わるものだけを書くと

・図書館用教科書

・教科書改定に関わって必要な図書 です。


図書館用教科書は

国語、社会、理科、道徳を

揃えておくといいと思います。国語は必ず!


教科書改定に関わって必要な図書は

金額だけ書いても構いませんのが、

資料のリストもつけておくと説得力が増します(笑)

それだけではなく、

3月末に司書の異動があった際にも

次の方がどの本を買えばいいのか分かるので、

引き継ぎ資料としても活用できます。

 

図書館利用計画の見直し

これはそれほど急ぎませんが、

2学期中盤~1月、2月までにしておくといいと思います。

1月や2月には来年度に向けての

利用計画の提案などがあると思います。

その頃までに司書教諭と司書で見直して、

全学年の先生にも目を通してもらうといいですね。

 

知っておきたい!学習指導要領


「学習指導要領」ご存知ですか?

なんとなく聞いたことがあると思います。

学習指導要領はどの学校でも同じような教育ができるように

文部科学省が定めた基準のことです。

これがもとになって教科書が作られています。

各出版社によって取り上げられている教材は違いますが、

どれも学習指導要領がベースになっています。

つまり、学習指導要領を見ておくと学習の基準(方針)が分かります。


特に見ていただきたいのは国語です。

 

このツイートにもありますが

小学校学習指導要領(平成29年度告示)解説 国語編は

ぜひ一度ご覧ください!


特に見ていただきたいのは

p167

学校図書館は「読書センター」「学習センター」「情報センター」の記述。

p200、201

情報の扱い方に関する事項、読書

p202~207

話すこと、聞くこと、書くこと、読むことの言語活動例 です。

これを読んでおくと

どんな学習が必要とされているのか分かります。

こういうことを知っておくと、

一歩踏み込んだ資料提供ができるかもしれません。

 

では、何かの参考になれば幸いです。

また次回、お付き合いくださいませ。

 

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