ひよこ図書館

とある学校司書のブログです。本の紹介、学校司書業務に役立つWordやExcelの豆知識など。

LGBT関連の調べ学習向け資料、物語

今回は、LGBTに関する調べ学習向け資料、物語をご紹介します。

 

 

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はじめに


紹介する本は

認定NPO法人 ReBit (りびっと)さんの

小学校高学年向けLGBT教材で公開されている

多様な性にかんするブックリストと

大阪府堺市立美原図書館さんの

ティーンズ向けLGBTにかんする

ブックリストを参考に選びました。

 

その中から現在購入可能な図書を

公共図書館、自校などで読んで中身を確かめました。

 たくさんの本を読んだので、いくつかの記事に分けて紹介します。

 

認定NPO法人 ReBit|LGBT問題の今を変える、10年後を創る

 


※当ブログ、ブログ管理人は大阪府堺市とは関係がありません。

 参考にさせていただいたので、ご紹介しました。

 

調べ学習向けの資料

 

「ふつう」ってなんだ? LGBTについて知る本

「ふつう」ってなんだ? LGBTについて知る本

 

 


導入が漫画になっていて読みやすいです。

表紙も現代風のイラストで

タイトルが”いかにも”な物でなく、

児童生徒が何気なく手に取りやすいと思います。


男らしさ女らしさについて

LGBTについての知識に触れながら、

当事者の気持ちも書かれています。

LGBTをめぐる世界と日本の取り組みが書いてあるのですが、

こういったことが書いてある本は少なかったので、

調べ学習ではこういった部分が使えそうだなと思いました。

 

 

 

1巻に男らしさ、女らしさについて考えるページがあります。

そのページでは、心の性、体の性、好きになる性、表現する性を

男性らしさ、女性らしさのバーで表現します。

表現する性というのは、

「女子だけどピンクは好きじゃない」だとか、

「男子だけどかわいい物が好き」だとか。

本では色々なこどもが考えた例が載っています。


心の性は女性、体は女性、好きになる性は男性だとして、

そういう”ふつうの女性”が

全員ピンクが好きでスカートが好きか

というとそうではないですよね。

青が好きな人もいるし、

パンツスタイルが好きな女性も多いです。

よく考えてみると100%どちらかの性に

振り切っている人はいないのでしょうね。

 

よくわかるLGBT 多様な「性」を理解しよう (楽しい調べ学習シリーズ)

よくわかるLGBT 多様な「性」を理解しよう (楽しい調べ学習シリーズ)

 

 簡易的ではありますが、

調べ学習の入門としてはよいと思います。

これを読んで気になった所を

別の本を見て詳しく調べるという

流れがよいかもしれません。

 

セクシュアルマイノリティってなに? (ドキドキワクワク性教育)

セクシュアルマイノリティってなに? (ドキドキワクワク性教育)

 

 前回のブログで紹介しました。

hiyoko-library.hatenablog.jp

 

体験談

 

インタビューが中心の本です。

体験談を読みたい人にはぴったりだと思います。

冒頭にちょっとした漫画があるのですが、

その中でも人によって

性別に対する考え方がバラバラで

「そうかこう思う人もいるのか」と驚きました。

巻末に相談窓口の紹介があります。

もし、人知れず困っていて、誰にも相談できない時、

こういうページがある事で救われる子もいるでしょう。

 

 

知ってる?LGBTの友だち マンガ レインボーkids (スクールコミック)

知ってる?LGBTの友だち マンガ レインボーkids (スクールコミック)

 

 

表紙は軽い感じの印象を受けますが、

「女の子同士のほうが気楽だからこのままでいいよね?」

「下ネタばかり言う人がいるのはなぜ?」

「性的ないじめを受けやすいってほんとう?」などの

疑問に対して、具体的に丁寧に書かれています。


多分、小学校高学年~高校生あたりの

揺らぎやすい時期によくある疑問(悩み?)なのではないでしょうか。

監修が元養護教諭の方だそうです。

図書館で読んだり借りたりするよりは

保健室や相談室などでじっくり読めたらいい本かと思いました。

 

物語

いくつか読んだ中で児童書として

扱われている物をご紹介します。

中高生向けだと感じた本はまた別のブログで紹介します。

 

ぼくたちのリアル

ぼくたちのリアル

 

 秋山リアル、飛鳥井渡、川上サジの3人が織りなす

小5らしからぬ心の交流のお話です。


感想文の課題図書にもなっていました。

勤務校では課題図書を一斉に読む事はないのですが、

学校によっては、全員が課題図書で取り組む事もあるだろし、

傷つく子がいるのではないかと心配になりました。

でも、あとになって、いくつかLGBT関連の物語を読んで

比べてみると、どの本よりもささやかに

書かれているのではないかと感じました。

それに小5とは思えぬ3人の考え方!

達観していると言いますか…。悟っていると言いますか…。

こういう考え方もあるんだと児童に

知ってもらいたい気持ちもありますが、

この本が抱えるテーマをすべて汲み取るのは、

小学生には難しいだろうなと思いました。

 

十一月のマーブル

十一月のマーブル

 

 自分の出生の秘密を探っていく物語です。

 

ぼくたちのリアルと同じ作者さんです。

こちらもまたまたヘビーでした。

ただ、ぼくたちのリアルと比べると、

主人公たちのやりとりが小学生らしく、

そこは本当の小学生にも共感できそうだなと思いました。

これを児童書として書くのは

どうなんだろうかと考えてしまいました。

 

以前Twitterで呟いた事があるのですが、

こどもたちは傷ついてほしくないし、

楽しく生きてほしいなと願っています。

でも、もしこういうことで悩んでいる子がいたら、

本を読むことで「同じ境遇の人がいる」と知って

気持ちが楽になることもあるだろし、

ヘビーな本も時には必要だろうなとは思っています。

 

ジョージと秘密のメリッサ

ジョージと秘密のメリッサ

 

 10歳の男の子ジョージは心は女の子。

シャーロットのおくりもの」の劇で

くもの女の子のシャーロットの役をやりたいけれど、

本当の自分を打ち明けられない…というお話です。

 

男子トイレに入るのがとても嫌だったり、

女性ファッション誌を宝物にしていたり、

トランスジェンダーの実態を知るのによい本だと思いました。

いじめの描写が気になる方もいるかもしれませんが、

読了感はとてもよく

「ああ~よかった!よかったね!」と心が温まります。

ジョージの身近で意外な人物が理解を示してくれたり、

友達が手を差し伸べてくれたり。

こういう風に本来の姿で輝けるのが

一番なんだろうなぁと感じました。

ブックリスト

読んだ本のリストです。抜けがあるかもしれません…。

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さて、いかがだったでしょうか。

たくさん読んでいくうちに、

主観だらけになってしまいました。

参考になるかは分かりませんが、

気になる本があればぜひ手にとってみてください。