今回は、中高生向けLGBT関連の本をご紹介します。
はじめに
LGBT関連の本を集めて読んでみた中に
中高生向けだと感じた物があったため
この記事でご紹介します。
※ただし、中学校、高校に勤務した事がないため、
あくまで参考程度にお考えください。
紹介する本は
認定NPO法人 ReBit (りびっと)さんの
小学校高学年向けLGBT教材で公開されている
多様な性にかんするブックリストと
ティーンズ向け
LGBTにかんする
ブックリストを参考に選びました。
認定NPO法人 ReBit|LGBT問題の今を変える、10年後を創る
参考にさせていただいたので、ご紹介をしました。
調べ学習向けの資料
ジェンダーとは何かトランスジェンダーとは
何かといった知識を説明するページと
当事者が抱える悩みを
当事者の例を挙げて書いてあります。
「家族や周囲にどう伝える?」という巻では、
家族や周囲へのカミングアウトについてがメインになっています。
「カミングアウトする」ということだけでなく、
カミングアウトするメリット、デメリットについても
書かれており、性に対しても、考え方や行動に対しても
とにかく丁寧に作られている本だと思いました。
題名から軽めに読める本なのかと思っていましたが、
そんなことはありませんでした。
しっかり学びたい方によい本だと思います。
中高生とは言わず、大人にも!
文体は軽めに若者風で書かれていますが、
内容はLGBTからさらに踏み込んで紹介されています。
恥ずかしながら、LGBTQまでしか知らず、
改めて人間に”ラベル”を貼るのは不可能だなと思いました。
ましてや男性や女性の2つに分けるだけなんて!
調べ学習というくくりに入れましたが、
全職員に知ってもらいたいという意味で
職員室に置いておきたい本です。
特に印象に残ったのは
トイレ、更衣室、身体測定での配慮についてです。
普通トイレや更衣室は男子、女子で別れていますよね。
そこで、どんな人も使える「みんなの更衣室」や
「みんなのトイレ」を作ろうと本に書かれていました。
LGBTの児童・生徒に限らず、
手術跡を気にして着替えに抵抗がある人も
安心して使える場所になるんだそうです。
(手術跡だけでなく、中高生だと体型や体毛など
色々気になる所がありそうですよね…そういった部分でも
少しでも生徒の心の負担を減らせそうでとてもいいなと思いました)
また、身体測定では男子は上半身裸になるのではなく、
女子と同じように着衣にする、測定場所についたてを設けるなど
どんな人も安心して過ごせる環境作りについて書かれていました。
養護教諭だけでなくすべての職員に
こういう理解が広がるといいなと思いました。
体験談
女性として生まれ、心は男性のトランスジェンダーの方が書いた本です。
ランドセル、習字セット、絵の具セットは全部赤。
作文で私と書くのが嫌で
オレは絶対にワタシじゃないと思い悩んだ
など幼少期の体験からすでにハッとさせられるエピソードばかりです。
語り口調が面白くて、ページをめくる手は止まらず、サクサク読めました。
小学生時代から学生、現在色々な活動をされるまでが書かれています。
途中から体も男性になりたいと性適合手術を考えているのですが、
色々な理由から先延ばしになっている所に心境の変化が見えます
さりげなくエッセイとして置いておいて
手にとってもらうのがいいかもしれません。
この方が書かれた「先生と親のためのLGBTガイド」は
職員室や保健室、相談室などにそっと置いておくののよいと思います。
先生と親のための LGBTガイド: もしあなたがカミングアウトされたなら
- 作者: 遠藤まめた
- 出版社/メーカー: 合同出版
- 発売日: 2016/06/30
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
よくある疑問対話形式で答えていきます。
「そう感じているんだ」とびっくりする部分もありました。
「多様性ってなんだ?」というタイトルの通り、
様々な立場(LGBTの)意見が出てきて、
色々な考え方、感じ方を知ることができました。
ほんの一部ですが、性行為の話がありました。
「ゲイカップルにどちらが
男役なのか女役なのか聞くのは失礼」という内容でした。
「そんな事聞く人がいるんだ、えー!」と思うと同時に
中高生がこれを読んだら変に騒いだり、
ネタにしないだろうかと思いました。
私は今の所、中学校と高校には勤務したことがなく、
基準が分からないですが、私だったら、買う前に
公共図書館などで借りて管理職や司書教諭、
養護教諭などたくさんの職員に見てもらってから
買うかどうか決めたい本だなと思いました。
LGBTなんでも聞いてみよう 中・高生が知りたいホントのところ
- 作者: 徳永桂子,QWRC
- 出版社/メーカー: 子どもの未来社
- 発売日: 2016/08/03
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
中高生から集めた質問に答えるという本です。
「男の人がカッコイイと思うのはゲイだから?」
「同性愛って、思春期の一時的気の迷い?」
など素朴な疑問に答えるというものです。
「~な人もいるし、そうでない人もいる」のように
幅をもたせた回答が多いです。
「性の多様性ってなんだ?」よりはマイルドな内容です。
図書館にあってもいいと感じました。
(学校の状況によって要検討)
保健室や相談室にはぴったりだと感じました。
スカートはかなきゃダメですか?―ジャージで学校 (世界をカエル10代からの羅針盤)
- 作者: 名取寛人
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2017/08/18
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
日本で女性として生まれた著者が
女性であることを隠して
男性だけのバレエ団に入り、
やがて性適合手術を受け、男性になるという実話です。
本人の頑張り次第で何にでもなれるんだなと
とても驚きました。
LGBTの関連本としてだけでなく、
努力や成功をテーマにした本としてもよいと思いました。
※なぜかAmazonのリンクが貼れなくなったため、途中からe-honにします。
6人のインタビューが中心になっています。
アメリカで出版され、日本語に翻訳された本です。
なんとも穏やかな表紙から
想像できないほど葛藤を抱えています。
男性として生まれた子がホルモン注射をうって
女性の体に近付こうとするのですが、
それでも本当の女性にはなれないという苦しみが
とても生々しく語られているページが
印象に残りました。
中学生・高校生におすすめのこのページで
紹介していますが、中学生には重いと感じました。
高校生、または大学生以上がいいかもしれません。
中学生になった主人公の悩みの種は「制服のスカート」
女子もパンツを履けるように校長先生に直談判します。
周りからのいじめがあったり、
家族にもカミングアウトできなかったりして
半分くらいまでは苦しい展開が続きます。
ですが、読み終えたあとはスッキリできると思います。
(校長先生の態度に驚きました。生徒からの直談判をあんな風に扱うなんて!
少し前に日本の高校でパンツスタイルの制服があると
話題になりましたが、こんな風にいろんな選択肢は必要だと思います)
「うたうとは小さないのちひろいあげ」の続編です。
続編と分かっていながら、
LGBT関連の本を40冊くらい読んでいて時間がなく、
この本だけ読みました。
短歌を詠む「うた部」が舞台になっています。
この本の主人公は業平という男の子です。
彼を中心に、付き合っている彼女との恋愛模様や
トランスジェンダーの転校生の様子が語られます。
作中で詠まれる短歌がとても瑞々しく、いじらしく、
なんとも表現できないような味わいでした。
胸キュンとは違い、胸がヒリヒリするような…?
恋愛小説としても楽しめると思います。
LGBT関連の物語としては、
高校という狭い世界で、
隠しているつもりでも広まってしまう事は
多々あるだろうなぁと心が痛くなりました。
漫画
普段はあまりお話しませんが、結構漫画も読みます。
「隠の王」「ぶっしのぶっしん」を読んだ事があります。
特にぶっしのぶっしんは絵がキレイで
仏像に魂が入っていく様が輝いて見えます!あっ本題から逸れました…
「しまなみ誰そ彼」は全4巻で完結しています。
ぽんっと買いやすくて助かりました(笑)
「知る覚悟があるなら読んでほしい」
そんな漫画です。
あまり説明しないほうがいいかもしれませんね。
内容を知りたい方はこちらのリンクをご覧ください。
『しまなみ誰そ彼』最終巻が7月19日に発売!|LGBTメディア|Rainbow Life
ブックリスト
読んだ本のリストです。抜けがあるかもしれません。
さて、思ったよりも長くなってしまいました。
いかがだったでしょうか。
読み手に感じ方はそれぞれだと思います。
気になった本があれば、ぜひ手にとって読んでみてください。
研修の課題としてLGBT関連の本を読んでみた事がきっかけでした。
すると、しばらくたって別の講演会でも同じような話ががあり、
今の時代の学校に必要な本なのだなと思い、
たくさん読んでみることにしました。
こういう機会があってよかったです。
2019年もこうやって勉強していきたいと思います。