ひよこ図書館

とある学校司書のブログです。本の紹介、学校司書業務に役立つWordやExcelの豆知識など。

特別支援学級での読み聞かせオススメ本

今回は、特別支援学級での読み聞かせについてご紹介します。

 

 

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基本的なスタンス

まずは司書になれてから…

これは個人的な考えですが、

特別支援学級に在籍している児童は

人に慣れるのに時間がかかることが多いと感じます。

(逆にパーソナルスペースがゼロで

人懐っこすぎる子もいます)

ですので、異動したての頃は

読み聞かせに入らないようにしています。

人(司書自体)が気になってしまって

読み聞かせに集中できない事も多いような気もします。

1学期は先生と一緒に図書館に来てもらって、

「図書館の人だ」

「この人は本をかしてくれる人だ」

という認識を持ってもらう事から

スタートしています。

もちろん、本人たちから

「本を読んでください」と言われたら喜んで読みます。

ただ、だいたいは慣れるのに時間がかかるので、

学級に行って読み聞かせをするのは

2学期頃からにしています。

読み聞かせを強要しない

通常学級でも言えることなのですが、

読み聞かせは強要していません。

「聞きたい子は集まってね」というスタンスです。

案外途中で気になって見に来てくれる子も多いです。

特別支援学級は1クラスだいたい1~8人程度です。

それぞれに気分や体調も違います。

全員が集まって、同じ本を見るというのが

難しい事も多いです。

特別支援学級の先生はなんとか

集めようしてくださいますが、

「聞きたい子はおいで~」という風にしています。

本当は聞きたかったけど、

先生に怒られたばかりで機嫌が悪かったなどの

隠れた理由もあるので、あとから読めるように

読み聞かせした本はしばらく学級に

置いておくようにしています。

児童の情報を集めておく

児童の好みや得意な事の情報を集めておくと

読み聞かせがしやすくなります。

特別支援の会、児童支援の会など

名称は学校によって違いますが、

児童の特性や性格、パニックを起こした時の対処法、

どのように接したらよいかなどを

職員で共有する会があります。

そのような会に出席するといいと思います。

出席できない場合は、特別支援学級の担任の先生や

支援員さんから情報を得るのがオススメです。

 

本の読み方・選び方

今日の内容を知らせる

複数読む場合には

「今日は最初にAを読みます。次にBを読みます」

と必ず伝えています。

順番や見通しが持てると安心する児童が多いようです。

特別支援学級では一日の予定を

細かく伝えるようなので、それを真似しています)


最初に読む本を固定化する

その学級によるのですが、

赤ちゃん絵本、幼児絵本など短い絵本で

反応がよかったものを毎回最初に読んでいた事があります。

毎回同じ手遊びをしていた事もあります。

「見通しが持てる」と似たような話ですが、

初めての事に戸惑いを感じる児童も多いです。

そこで、毎回最初に同じ本を読む事で

「これからおはなしが始まるんだな」と

分かってもらうようにしていました。

読み聞かせに慣れてきて

私が教室に入ると「おはなしだ~!」と

集まってくるようになってからは

特に固定しなくなりました。

もしくは、「ちがうのがいい!」などの

声が上がった日は違う本から読み始める事もあります。

 

本の選び方

児童の好みの本+何らかのテーマの本で

組み合わせて読むようにしています。

 

児童の好みに合わせられるのは、

少人数学級だからできることですね。

「あるシリーズが大好きだからそれを読んでほしい」

「特定の色に反応するから○色の本を読んでほしい」

「カエルが大好きだからカエルが出てくる本を読んでほしい」

(反対に○○がキライだから○○の出てくる本は読まないで!)

など先生からの要望を聞いて、

できるだけそれに合わせるようにしています。

特に大嫌いな物がある児童については気をつけています。

文中に出てきただけでも

パニックになってしまう事もあるそうです。

定番絵本

あくまで歴代校の特別支援学級
読んできた中でのオススメ本です。
当然の事ながら児童によって
反応は違うと思いますので、参考程度に…。

 

やはり昔から読みつがれている
定番絵本は反応がいいです。

 どちらかというと物語系よりも

音や言葉が楽しそうなものを選んでいます。

 

学級内で知的にかなり差があっても

誰もが楽しめるファーストブック系もオススメです。

もこ もこもこ (ぽっぽライブラリ みるみる絵本)

もこ もこもこ (ぽっぽライブラリ みるみる絵本)

 
もけら もけら (日本傑作絵本シリーズ)

もけら もけら (日本傑作絵本シリーズ)

 

 

きんぎょが にげた (幼児絵本シリーズ)

きんぎょが にげた (幼児絵本シリーズ)

 

 

だるまさんと (かがくいひろしのファーストブック 3)

だるまさんと (かがくいひろしのファーストブック 3)

 
いないいないばあ (松谷みよ子 あかちゃんの本)

いないいないばあ (松谷みよ子 あかちゃんの本)

 

もこもこもこ、もけらもけらなどは説明不要ですね(*^^*)

ノンタンぶらんこのせて (ノンタン あそぼうよ1)

ノンタンぶらんこのせて (ノンタン あそぼうよ1)

 

 ノンタンは先生達からの支持も熱いです。

ノンタンブランコのせて」は

道徳の教科書にも載っています。(会社によって違い有り)

ノンタンがブランコをひとりじめしてまって

友達に譲ることができません。

あるある~な学校生活の一コマにぴったりな絵本です。

 

写真のようにリアルなタッチの絵本は
「あ!○○だ!」と反応しながら

聞いてくれる事も多いです。

思わず手を伸ばしてくる児童も多いです。

くだもの (幼児絵本シリーズ)

くだもの (幼児絵本シリーズ)

 
にじ (かがくのとも絵本)

にじ (かがくのとも絵本)

 

 

たんぽぽ (かがくのとも絵本)

たんぽぽ (かがくのとも絵本)

 

 かがくのとも絵本シリーズや

荒井真紀さんのシリーズはリアルで

児童の反応がいいです。 

あさがお

あさがお

 
 

生活関連の本

定番絵本ともかぶってしまうのですが、

食べ物、買い物(おでかけ)、お風呂、トイレなど

生活に関連した本を読む事も多いです。

 

おふろだいすき (日本傑作絵本シリーズ)

おふろだいすき (日本傑作絵本シリーズ)

 
ぼくのおふろ (わたしのえほん)

ぼくのおふろ (わたしのえほん)

 

 

トイレにいっていいですか

トイレにいっていいですか

 

 

といれ (あけて・あけてえほん)

といれ (あけて・あけてえほん)

 

 

以前いた学校では

「野菜、果物、料理の名前を覚えさせたい」などの

先生からの要望で食べ物絵本をよく読んでいました。

 食べる事は生きる事でもありますし、

しっかり身に着けさせたかったのでしょうね。

やさいさん (PETIT POOKA) 0~3歳児向け 絵本

やさいさん (PETIT POOKA) 0~3歳児向け 絵本

 
くだものさん (PETIT POOKA) 0~3歳児向け 絵本

くだものさん (PETIT POOKA) 0~3歳児向け 絵本

 

 くだものさん、くだものさんだーれだ?の問いかけが楽しいです。

ハンバーグハンバーグ

ハンバーグハンバーグ

 

 このシリーズは特に美味しそうです!

擬音も楽しい絵本です。

特別支援学級の児童に限らず、児童にも人気です。

他にオムライス、カレーがあります。

 

授業の一貫としておでかけをして

バスに乗ったり、買い物をする事も多いようです。

それに関連した本も読みます。

バムケロはもはや大定番ですね。

おかいものに限らず、どの本も反応がよかったです。

バムとケロのおかいもの

バムとケロのおかいもの

 

 

ピン・ポン・バス

ピン・ポン・バス

 
でんしゃに のろう (講談社の創作絵本)

でんしゃに のろう (講談社の創作絵本)

 

 田中六大さんの「としょかんへいこう」もよかったです。

路線バスしゅっぱつ! (ランドセルブックス)

路線バスしゅっぱつ! (ランドセルブックス)

 

読み聞かせよりも眺めて楽しむ絵本として。

ハマる児童はとことんはまります。

この方のシリーズ。

 同じような理由で

鈴木のりたけさんの「しごとば」に

ハマった子もいました。

どちらも書き込みが細かいですから、

見ていてわくわくしますね。

 

お買い物系 2冊

はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)

はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)

 
おちばいちば

おちばいちば

 

 どんぐりでおかいものする所が

とてもかわいい絵本です。

実際にどんぐりでおかいものごっごをした学級もありました。


行事関連の本

これも担任の先生からの要望を聞きます。

「バスで買い物に行くからバスの絵本」など
色々な要望に応えられるように心がけています。

主に絵本が多いです。野菜作りやどんぐり、
動物系の依頼の場合は写真絵本も使います。

 

たなばたプールびらき (ピーマン村の絵本たち)
 

 ピーマン村のシリーズは幼児向けで短くて

集中力も続きやすいと思います。

運動会、プール、おいも(秋っぽい)

クリスマス、お正月が

そろっているのでよく読んでいます。

 各種行事の鉄板本を自分の中で

1冊決めておくといいかもしれませんね。 

 

 科学系絵本

特別支援学級は色々な学年が混在しているため、

低学年の生活科、中・高学年の理科に対応できるように

科学系の絵本も読むようにしています。

 

難易度順に紹介していきます。

難易度: 易 フレーベル館の「だいすきしぜん」

幼児向けの作りです。お話も短いです。

最後に飼い方が載っている所がとてもいいです。

低学年に「○○の飼い方」と聞かれた時に大活躍します。

ほぼ絶版状態なのですが、

現在まで買える虫系はぜひ買ってみてください。

1、2年生の生活で使えます。

買い足したくて再販要望をメールした事があります(笑)

 似ているものでひさかたチャイルドの

難易度易: 「しぜんにタッチ!」シリーズ

こちらは写真のものもあります。

幼児向けです。

フレーベル館のものよりは現在買えるものもあります。

 生き物、食べ物、暮らし系など色々なテーマがあります。

どんぐりころころ (しぜんにタッチ!)

どんぐりころころ (しぜんにタッチ!)

 

 

難易度:中

ポプラ社「ふしぎいっぱい写真絵本」シリーズ 

上記2シリーズと比べると

ほんの少し長めの物もあります。

こちらは対象が小学生です。

本当に美しい写真で語られています。

特別支援学級に限らず、

3年生の国語の科学読み物としても使えます。

 

つらら: みずと さむさと ちきゅうの ちから (ふしぎいっぱい写真絵本)

つらら: みずと さむさと ちきゅうの ちから (ふしぎいっぱい写真絵本)

 

難易度:中

パイインターナショナル

てづかあけみさんの「はじめての~えほん」 シリーズ

「はじめてのからだえほん」「はじめてのほしぞらえほん

「はじめてのにほんちずえほん」など色々出ています。

 特別支援学級の高学年の理科の調べ学習

(天気、体の仕組み)などで活用しました。

 読み聞かせする絵本というよりは

調べたり、少人数で眺めて楽しむシリーズだと思います。

はじめての てんきえほん

はじめての てんきえほん

 

 

難易度:普~難:  「かがくのとも絵本」「かがくのとも傑作集」

こちらは本によって難易度がかなり違うので

特別支援学級で読む場合は

その学級、その児童に合わせて選ぶようにしています。

とりになった きょうりゅうのはなし 改訂版 (かがくのとも絵本)

とりになった きょうりゅうのはなし 改訂版 (かがくのとも絵本)

 

 

あとがき

特別支援学級で読み聞かせをする機会が

増えてきたため、まとめてみました。

まとめるにあたって何か情報がないかと検索してみた所、

東京都立図書館さんの素晴らしい情報を見つけました。

本の情報はもうこちらで十分だと思ったため、

本ではなく、読み聞かせのスタンスを中心に書く事にしました。

何かの参考になれば幸いです。

参考資料

東京都立図書館 【17】特別支援学校での読み聞かせ

www.library.metro.tokyo.jp

※当サイト、および当サイトの管理人は、一切関係はございません。

 

次回は、特別支援学級向けの図鑑や学習本をご紹介する予定です。