ひよこ図書館

とある学校司書のブログです。本の紹介、学校司書業務に役立つWordやExcelの豆知識など。

学校再開後の図書館運営

今回は、学校再開後の図書館運営についてご紹介します。

 

 

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はじめに

「ご紹介します」と言い切ったものの

初めてのことばかりで試行錯誤中です。

勤務校の方針は、

消毒よりも手洗いを中心に呼びかけているため、

どちらかといえばゆるめの規則が多いです。

自治体や各学校での方針によって違うと思います。

あくまで参考程度にご覧ください。

 

現在の状況

・6月1日から学校再開

 (一時分散登校、時間差下校。今は全校登校中)

・6月8日にテレビ放送でオリエンテーション実施

・6月8日から図書館利用開始

・休み時間、授業時間ともに利用割あり(短い休み時間は利用なし)

・1年生はクラス毎に来館してオリエンテーション

 初めての貸出を実施済み

 

 

基準になる方針


文部科学省から示された方針

学校における新型コロナウイルス感染症に関する

衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~

 

都道府県の教育委員会から示された方針

 

・市町村の教育委員会から示された方針

 

・学校で示された方針

 

SLA 

新型コロナウイルス感染症拡大防止対策下における

学校図書館の活動ガイドライン

 

主にこの5つが基準になると思います。

勤務校の場合は、市町村レベルで

教育委員会から示された方針があり、

それを元に学校での方針が示されました。

ただし、その中には学校図書館に関する記述がほとんどなく、

5月末から管理職、養護教諭、司書教諭、司書で相談して

校内の方針を作る事にしました。

そうしているうちにSLAからのガイドラインが出て、

6月第2周目からの図書館開館ができました。

SLAの方は具体的に書かれています。

すべてを行う事は難しいですが、参考になると思います。

ご一読ください。

自校の方針

児童向け

・マスク着用

・手洗い

・人と離れる

・利用割を守る

・本を借りたら教室へ戻る

 

児童には5つの方針を伝えています。

学校で呼びかけられているマスク着用、手洗いなどに加えて

利用割を守る事、貸出をしたら教室へ戻る事を付け足しました。

 

(皮膚が弱い児童やアルコールにアレルギーのある児童は

 アルコール消毒はせず手洗いのみになるため

「あの子、アルコールしてない!」と批判が起きないように

あえてアルコール消毒は入れませんでした)


手洗いについては、

休み時間毎に放送がなっているので

図書館としてはそれほど苦労していません。


例年は、休み時間の利用割はないので、

児童には窮屈な思いをさせてしまうのですが、

混雑を避けるためには仕方ありません。

また、貸出をしたら教室へ戻る事も伝えています。

 


職員向け

・児童、教職員マスク着用

・児童への手洗い指導をお願いします

・人と離れるように呼びかけをお願いします

・児童へ利用割を守るように呼びかけをお願いします

・本を借りたら教室へ戻るように指導をお願いします

(引率して児童と来館、借りた児童から廊下へ整列、

 全員集まったら引率して教室へ)


児童と同じ5つの方針です。

 先生にも意識を変えてもらおうと、

とにかく「借りたら戻る」を伝えています。


環境整備

・ドアを開放できるようにドアストッパー設置

・入口ドア、出口ドアを区別

・出入り口にアルコール消毒設置

・カウンター前の待機列に足跡マークを貼る

・カウンターに飛沫防止シート設置

・机と机の距離を離す

・対面にならないように椅子を一方向に並べる

(椅子の数は半分以下に)

・ベンチ撤去

・「はなれてならぼう」「かんき中」などの看板設置

 カウンターから離れて並べるように机や椅子のレイアウト変更

・返却場所を広くするために机のレイアウト変更

・図書館利用割を図書館入り口、館内、

 各階教室前廊下、教室など色々な所に掲示

・図書館入り口に「○年生 図書館を使えます」の掲示作成

 (紙芝居形式にしてめくれるタイプ)

 

・よかった事

椅子やベンチを減らした事で放課後の消毒箇所が減らせた

休み時間の利用割を決めた事で混雑を回避できた

図書館入り口に「○年生 図書館を使えます」の掲示をしたら

違う学年が入ってくる事がなくなった


・本当はこうしたかった事、これからの課題

 

片付ける場所があれば、椅子を全撤去したかった

 

返却場所や机周りにスペースができた事で

床に座って読書をする児童がいる

(衛生的にも床はよくないので、床に座らない対策を考える)

 

利用割の時間帯に集中してしまう学年があるので、

クラスごとに区切ることも検討中

 


本の利用の変更点


(   )は詳しい説明、なぜそうしたのかなど。

※…近隣の自治体やネットで見かけた情報

 

・貸出

1人2冊1週間

 
(1学期中は3冊貸出、4冊貸出デーなど

 人が集中しやすい貸出増加日は設けない

感染予防のために学校の物を持ち帰りたくないなど

家庭の都合で貸出できない児童には、貸出しない)


※本の消毒の事を考えて2冊に固定しましたが、

 利用割の都合で週1か2週間に1度しか

 図書館を使えない場合は、
 3冊か4冊貸出、2週間に設定し、

 長い間読めるようにしている学校もあるようです。

 

・自分の本は自分で読む

例年以上に又貸しをしないように呼びかけする


・貸出した本の持ち帰り

 勤務校の場合はOK ただし、読んだ後は手洗い

 


・返却

児童が自分でブックトラックに並べる

今日返ってきた本は他の人に貸出しない

 

(司書がアルコール消毒→配架

勤務校の場合は、手洗いを中心に呼びかけているため、

表面をさっとアルコールでふく程度です)

 

※返却後の消毒については様々な意見があるようです。

 大規模校で返却本が多すぎて消毒が難しい学校や

 アルコールの在庫が少ない学校では、

 消毒をせずに2~4日放置しているそうです。

 反対にアルコール消毒を推奨している学校では

 1冊1冊アルコールで消毒していたり…。

 一体どれが正解なのかは分かりませんが、

 自校にある物品や自校でできる範囲の事で

 対策を取っていく事が司書の負担やストレスが少ないと考えています。

 

読み聞かせ

・行わない

(教科書の朗読など必要不可欠な場合は行うが、

 児童を集めず、自席に座って聞くようにする)

(図書委員会やボランティアによる読み聞かせも1学期中は行わない)


朝読書


学校図書館で借りた本を読む(自宅の本は持ち込み不可)


学級文庫

・読んだ後は手洗い

学級文庫を撤去し、自分で借りた本のみを読ませている学級もあります)

 

1時間の読書

・なし

(貸出したら教室へ戻って読書)

 

授業中の貸出タイム

・あり

(貸出したら教室へ戻って読書)


授業で使う本の貸出


・ブックトラックに載せて貸出(読んだ後は手洗い)


調べ学習


・ブックトラックに載せて貸出(読んだ後は手洗い)

  

(調べ学習の支援についてはとても悩んでいる所です。

 本当は具体的に児童の疑問を聞きながら本を探したいのですが、

 そういうわけにもいかず、先生から事前に課題をもらって

 「こういう本が使えそう」という予測で本を集めています)

 

図書委員会の変更点

委員会発足は7月からのため6月は活動なし


変更点

 

・集合場所 図書館→普通教室へ


・カウンター当番 なし

 (POPや掲示物作成など人と関わらない活動で代用できないか検討中

 委員会活動の回数も減少しているためPOP指導なども難しい。

 こちらでテンプレートや作成例を作ってできないか…?)

 

・1学期は読書週間なし

  イベント開催、朝読書での読み聞かせなどはなし

 

おわりに

 休校中に環境整備をしていたつもりでした。

でも、いざ始まってみると、

利用割があっても違う学年の児童も入ってきてしまったりして、

利用割だけでは不十分だった事が分かりました。

入り口にも掲示を作ったり、そこら中に貼り出したり…。

こんな風にやってみて変えていく事が多々あると思います。

みなさんもそれぞれの学校で試行錯誤してみてください。

私も色々試してみて、

情報がたまってきたらまたブログに書きます。

 

では、今回もお付き合いいただき、

ありがとうございました。