ひよこ図書館

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読み聞かせにオススメ!平和を願う本 

今回は、読み聞かせにオススメの平和を願う本を紹介します。

 

 

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低学年にオススメ

 

低学年用は、戦争の描写が控えめな本を選びました。

 

「えんぴつびな」

長崎源之助 作 長谷川知子 絵 金の星社

 

www.e-hon.ne.jp

 

ジャンル:フィクション

舞台:日本(疎開先)

空襲で家が焼けてしまったので、

田舎に引っ越してきた”わたし”

となりの席のシンペイちゃんは、

なかなかなじめないわたしをかばってくれる。

ある時、「いいもん、やるよ」と

えんぴつでできたおひなさまをくれて…。

 

じわじわと悲しみが広がるお話です。

戦争の描写が控えめでどの学年に読んでも大丈夫です。

 

ちなみに、主人公の”わたし”は小学3年生です。

 低学年にオススメとしましたが、

3年生にもぴったりだと思います。

 

 「まちんと」

松谷みよ子 文 司修 絵 偕成社

www.e-hon.ne.jp

 

ジャンル:民話ベースのフィクション

あとがきに原典になる民話のような話があると書いてありました。


舞台:8月6日 ヒロシマ

 

もうじき3つになる子が原爆の被害に合い、

くるしみながらトマトを「まちんと まちんと」とねだって亡くなります。

その子は鳥になり今でも空を飛んでいます。


原爆爆弾の様子、街が燃え上がる様子、

焼けただれた人の様子の絵があるものの、

比較的おだやかな描写です。


絵本の袖に

「静かに、子どもたちに平和の重さ、

いのちの尊さを語りづく絵本です」

とあり、まさにその通りの絵本です。

 

「へいわってすてきだね」 

安里有生 詩 長谷川義史 画 ブロンズ新社

 

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ジャンル:フィクション

舞台:沖縄

 

沖縄県平和祈念資料館

「第23回 児童・生徒の平和メッセージ」で

小学校低学年の部・最優秀賞になった

安里有生(あさとゆうき)さんの

詩を絵本にしたものです。

2013年6月23日沖縄全戦没者追悼式で、

当時6歳の安里さんが朗読する姿はとても印象に残りました。


こどもの言葉で語られており、

こどもの心にしみやすいのではないかと思います。

 

最後の「ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」が

指導にも繋がりやすいのではないかと思います。

 

「へいわってどんなこと?」

浜田桂子 作 童心社

 

ジャンル:フィクション

 

「へいわってどんなこと?」というタイトルから問いかけが始まり、

「きっとねへいわってこんなこと

 せんそうをしない

 ばくだんなんかおとさない

 いえやまちをはかいしない

 だってだいすきなひとにいつもそばにいてほしいから

 おなかがすいたらだれでもごはんがたべられる」と

身近な平和かつ全世界の平和を願うストーリーです。

読み終わった後は温かい気持ちになれます。

 

中学年にオススメ

中学年はノンフィクションで

やや読み応えのある作品を選びました。

 

「8月6日のこと」

中川ひろたか 文 長谷川義史 絵 ハモニカブックス

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ジャンル:ノンフィクション

(絵本作家 中川ひろたかさんの伯父さん、お母さんの話)

 

あらすじ

お母さんのお兄さんは兵隊として

広島で働いています。

お母さんはお兄さんのためにお弁当を

届けに行っています。

8月6日から1週間後、

いつもと同じようにお弁当を届けに行こうとしますが…。

 


もう渡せなくなったお弁当を抱えて帰るのは

どんなにつらいことか。

胸が締め付けられます。

 

かわいそうなぞう

つちやゆきお 文 たけべもといちろう 絵 金の星社

 

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舞台:東京 上野動物園

 

あらすじ

日に日にひどくなる空襲。

もしも、爆弾が動物園の上に落ちたら、

動物達が折の外に出てしまう…。

そこで、ライオン、トラ、ヒョウは

毒を飲まされて殺されました。

いよいよ3頭のゾウが殺される事になりますが…。

 

ここまで書いただけでももう耐えられません。

読み聞かせにオススメと言いながら、

かわいそうなぞうと百万回いきたねこは

泣いてしまいそうで読み聞かせできない本です。

 

「伸ちゃんのさんりんしゃ」

児玉辰春 作 おぼまこと 絵 童心社

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ジャンル:ノンフィクション

広島平和記念資料館に伸ちゃんの三輪車の展示があります)

 

あらすじ


三さいの伸ちゃんは三輪車をもらって大喜び。

さっそく三輪車に乗って近所の子と遊びに出かけます。

ところが、そのまま原子爆弾の被害にあい、

四歳の誕生日を迎えることなく、

帰らぬ人となってしまいます。

 

ひろしまのピカ」
丸木俊 絵・文  小峰書店

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ジャンル:ノンフィクション

(原爆被害にあった女性の話を元に書かれた本)

舞台:ヒロシマ

おとうさん、おかあさんといっしょ

朝ごはんをたべていたみいちゃん。

その時、おそろしい光がつきぬけました。

あたりはまっくら。

おかあさんは炎に飛び込み、

体に穴が開いたおとうさんを背負い、

みいちゃんを連れて走ります。

なんとか逃げた一家でしたが、

握っていたお箸が手から離れない。

髪の毛からガラスが出てくる、

血を吐いてしまうなど次々と原爆の被害があり…。


物語の最後にある

「ピカはひとがおとさにゃおちてこん」というセリフが

ずしんと心に刺さります。

絵もとても重々しいです。

読むなら4年生以上。

繊細な児童がいるクラスはさけた方が無難です。

 

高学年にオススメ

高学年はさらに読み応えのある本を選びました。

 

ヒロシマ 消えたかぞく」

指田和 著 鈴木六郎 写真 ポプラ社

 

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ジャンル:ノンフィクション

舞台:広島


第66回青少年読書感想文全国コンクール

小学校高学年の課題図書でした。


内容

広島で散髪屋を営む鈴木家、6人の写真を集め、

その暮らしぶりを記録した本。

本当に楽しそうな家族の命が

一発の爆弾で失われたのだと思うと

やるせない気持ちになります。

 

 

「おりづるの旅 さだこの祈りをのせて」

うみのしほ 作 狩野富貴子 絵 PHP研究所

 

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ジャンル:ノンフィクション

舞台:広島

あらすじ


小さい時に爆心地にいたさだこ。

終戦から9年が経ち、6年生になりました。

リレー選手に選ばれるほど足が速く元気なさだこ。

ところが、その冬、原爆症と診断されます。

病気がなおることを祈っておりづるを折りはじめ…。


 「原爆がくりかえされんように

  原爆でなくなった子みんなの像をつくったらどうだろう」


  そんな一言から同級生は慰霊碑作りのため街頭に立ちます。

 

平和の取り組みとして折り鶴を折る学校があると思います。

そんな時にぴったりな本です。

 

「いわたくんちのおばあちゃん」

天野夏美 作 はまのゆか 絵

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ジャンル:ノンフィクション

(実在した岩田千津子さんのお話)

舞台:広島


いわたくんちのおばあちゃんは

写真を撮られるのをいやがります。

その理由は…。

 

八月初め、家族写真を撮りました。

しかし、その直後の八月六日、原子爆弾が落ち、

現像された家族写真を見れたのは

原爆で家族でただひとり生き残ったおばあちゃん(ちづこ)だけでした。

 「ずーっと家族といっしょにいたくて
  ずーっと家族の笑顔をみていたくて
  だから、いっしょに写真をとらんのよ」

 

全部読むには”長い”と先生には嫌煙されそうですが、

穏やかな語り口で読みやすい本だと思います。

 

「さがしています」

アーサー・ビナード 作 岡倉禎志 写真  童心社

 

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ジャンル:ノンフィクション

舞台:広島

 

内容

広島平和記念資料館の所蔵品が語り部となり、

その時、何が起きたか、何をさがしているか

をとんとんと語る本です。

 

8時15分で止まった時計、

黒こげになったお弁当、

人が焼けこげたかげが残った階段。

どれも当時の様子が伝わってきます。

 

あとがき

 気がつくともう7月になっていました。

皆さんの学校の平和週間や平和の取り組みに

間に合えばいいなと思いながら

これを書いています。

学校の平和週間、平和の取り組みなどで参考になれば幸いです。

 

これからますます暑くなりますね。

どうぞご自愛ください。

 

では、今回もお付き合いいただきありがとうございました。