ひよこ図書館

とある学校司書のブログです。本の紹介、学校司書業務に役立つWordやExcelの豆知識など。

中学校図書館作りの工夫

今回は、中学校図書館作りの工夫についてご紹介します。

 

 

 

はじめに

昨年4月に異動してから、環境を整えることから始めました。

今年は、中学校2年目です。

 

勤務校は、超大規模校です。

毎年クラス数が増えているような学校です。

 

図書館のヘビーユーザーと

そうでない生徒の差がとても大きいです。

三桁借りる生徒も多くいますが、一桁という生徒もいます……。

課題として今後取り組んでいきたいところです。

こうした特徴のある学校のため、

利用案内の掲示や展示を増やし、

借りたくなる図書館を目標に図書館作りをすることにしました。

 

図書館廊下・ドアの工夫

掲示物を貼る

掲示物の内容は

現在の貸出冊数、図書だより、新刊情報、予約・リクエストです。

 

読書週間中や長期休み前は貸出冊数が増えるため、

いつでも「借りられる冊数」を掲示しています。

 

図書だよりはA3に拡大してカラーで掲示しています。

(配布版はA4白黒です)

新刊情報は、今月、先月の分を掲示しています。

 

借りたかった本が貸出中の場合は予約ができること、

図書館に入れてほしい本をリクエストできることを掲示しています。


小学校勤務の時は季節の飾りをメインにしていましたが、
中学校では、利用情報を中心に掲示しています。

 


ドアの工夫…使えるかどうかひと目でわかる

1「OPEN 開いています」「 CLOSE 閉まっています」の看板を大きく飾る

2使える学年、クラスを大きく飾る(使用割など)

3司書の居場所を書いておく


「これでもか!」と大きくA3で作ることにしました。

図書館がある棟と教室のある棟が少し分かれた校舎なのですが、

A4からA3に変えたことで、

教室からも見えるようになりました(笑)

 

司書の居場所というのは、

「館内、職員室、印刷室、教室、不在」など

どこにいるか分かるようにした掲示です。

 

 

カウンターの工夫

カウンターの工夫…利用方法を掲示する

入って一番目立つカウンター付近に

利用方法を掲示しています。

 

図書館の作りによっては、

カウンターよりも目立つ場所があると思います。

カウンターにこだわらず、

目立つ場所に飾ることをおすすめします。

 

掲示の内容は

貸出方法「組、番号、名前を伝えること」

貸出冊数、貸出期限、期限を延ばしたい時、返し方です。


小学校では、毎年全学年にオリエンテーションを行っていたので、

誰もが使い方を知っています。

そのため、利用方法の掲示は特にしていませんでした。

勤務校の中学校では、

中1にだけオリエンテーションをしています。

あまり図書館を利用しない生徒のためにも

利用方法を掲示したほうが

親切なのではないかと考えました。

 

友達と一緒にふらっと来て、

「借りてみよう」と気が向いた時にも

借りられるように大きく掲示しています。

掲示には、TRCさんのピクトグラムを使用しました。

 

 

 

利用案内や書架の看板(サイン)など

ずっと掲示しておくものには

UDフォントを使用することをおすすめします。

 

カウンターの工夫…利用案内だけ掲示する

カウンターには、利用案内だけ掲示しています。

利用案内を目立たせたいからです。

 

イベント、コンクール募集などのポスターは

館内の一箇所にまとめて掲示しています。

 

カウンターの工夫…整理整頓

人によってどこまでが整理整頓かは違いますね(笑)

 

私の場合、カウンターにはパソコンとバーコードリーダー、

鉛筆1本、メモ用紙だけあるのが理想です。

 

カウンターはお客さんを迎える場だと思ってきれいにしています。

 

とはいえ、仕事をしていると、読みかけのカタログがあったり、

装備中や修理待ちの本があったり。色々と溜まってしまいます。

 

そこで、文房具は使う分だけペン立てに置く、

生徒から見える場所に修理本は置かない、

本は横積みにしないの3つを心がけています。

 

ちなみに、はさみやカッターは安全上の理由から

ペン立てには入れず、必ず引き出しに収納しています。

 

横積みは、生徒に真似してほしくないから自分もしません。

装備中の本は、休み時間になったら

ブックトラックにのせて一旦書庫にしまうようにしています。

修理本は置き場所を決めて、そこに置きます。

あちこちに置くとどれが修理本か分からなくなってしまいます。

 

中学校の場合、図書委員が貸出をしたり、

カウンターで仕事をすることも多いと思います。

どこまで触っていのか、使っていいのか

(カウンターの上の物は使ってOK、引き出し✕)などの

話をしておくといいと思います。

 

 

カウンターの工夫…貸出カウンターのそばに予約、リクエストコーナー

予約用の机を貸出カウンターのそばに変更しました。

貸出カウンターで「○○の本はありますか?」と生徒に聞かれた時に、

「ごめんなさい。今は貸出中です。よかったら予約もできますよ」と

予約やリクエストにつなげるためです。

少しずつ予約・リクエストの件数がのびてきました。

 

閲覧スペースの工夫


閲覧机の工夫…座席指定

座席指定の掲示を作りました。

① ② ③

④ ⑤ ⑥

のように出席番号で座る場所を決めました。

 

 

ゴミ箱、卓上ほうき・ちりとりの案内

ゴミ箱の場所をしょっちゅう聞かれたので、

ゴミ箱の掲示を作りました。

卓上ほうきとちりとりの場所も書きました。

いつ来ても使いやすい図書館を目指して頑張っています。

 

展示の工夫

 

・本の展示を増やす、よく入れ替える

異動当初は2箇所だった展示スペースを増やし、

大小合わせて4~7つの展示をしています。

 

常設は3つ  

・新刊

TikTokSNSで話題の本(映像化、テレビ放送本、受賞作品など)

・朝読書におすすめ

 

 

詳しく書き出してみます。

・新刊

当月の本だけでなく、先月の新刊も合わせて展示しています。

できるだけ表紙が見えるように展示します。

購入時についてきた帯も掲示板に飾っています。

 

TikTokSNSで話題の本、映像化、テレビ放送本、受賞作品など

 

特に人気のコーナーです。よく貸出されます。

ここに並べている本は、

昨年度と比べて1.5~3倍貸出回数が伸びました!

 

TikTok」「映像化」「テレビ放送されました」など

よく使う文言はPOPを作って貼っています。

 

飾る本の情報はネットで集めます。

よく見ているホームページは、以下のページです。

 

Honya Club 

メディア化情報 映画化・ドラマ化・アニメ化

映画・ドラマ・アニメの原作をチェック!メディア化情報 【映画化】:オンライン書店Honya Club com

 

価格.com

テレビ番組で紹介された本・コミック・雑誌

価格.com - テレビ番組で紹介された本・コミック・雑誌 | テレビ紹介情報

 

受賞作品は、本屋大賞芥川賞直木賞、このミステリーがすごい

MOE絵本大賞、新書大賞

ダ・ヴィンチ』のBOOK OF THE YEAR 2022などをチェックしています。

新聞で紹介された本を切り抜いて掲示したいり、

時間がある時はネットでもチェックします。

新聞で紹介された本:オンライン書店Honya Club com


・朝読書におすすめ

短編集コーナーです。

 

文庫の短編集など短くサクッと読める本を集めてあります。

自分たちで本を選ぶ力をつけてほしいなと思いながらも、

まずは「借りる」ハードルを下げていきたいので、

手っ取り早くコーナーを作りました。

 
月替り、週替り展示

・季節もの

(○○週間、○○の日など)

○○の日の関連本は少ない場合もあるので、

たいていは5冊程度のミニ展示になっています。

ロゴ合わせの記念日なども面白いですね。

やろうと思えば日替わりもできますが、

負担が大きいので、週変わりくらいでやっています。

貸出されば、また違う展示に変えて、

いつ来てもどこか違う展示がある状態になっているはずです。

 

 

・○月生まれの作家さん

現代作家さんと文豪を混ぜて展示しています。

「え~!自分と一緒!すごい」という声も聞こえてきて、

作家さんが身近に感じられていいなと思います。

いつも読まない作家さんとの出会いになっていたら嬉しいです。


・分類展示

1学期

4月…4類 5月…5類 6月…6類  

7月…感想文にオススメ(小説、ノンフィクションなど)

8月…なし

2学期

9月…8類(8月はほとんど学校がないので代わりに8類)

10月…0類 

11月…7類(7月の代わりに芸術の秋、スポーツの秋として) 

12月…冬休みにオススメ

3学期

1月…1類 2月…2類 3月…3類

 

月で決めておけば迷いません。

9類以外の本にも触れてほしいという思いから

分類別の展示をしています。

展示する時の看板は、単純に○類ではなくて

4類なら「生きものってすごい!」

「体の中、こんなことが起きてる?!」など少し工夫しています。

 

・展示のテーマの看板を飾る

少し手間はかかりますが、パソコンで看板を作っています。

本5冊程度のミニ展示の場合はA4用紙1枚、

たくさんの本を飾る場合は、A3用紙1枚で作っています。

看板があると、展示の完成度があがる気がします。

自己満足ではありますが、少しでも展示が目立てば

手にとってくれる割合が上がるのではないかと思ってやっています。

看板作りについては、別途ブログを書く予定です。


・人気本ランキング

学期末の長期貸出時期に掲示しています。

人気本だけあって貸出中の場合が多いので、

シリーズ本や同作家の著書を展示することが多いです。

 

・POPを飾る

展示と関連して、POPも飾っています。

最近ハマっているのが、オリジナルのPOPカードです。


昨年の1学期の頃は、展示に合わせて

1枚1枚カラーペンを色々使ってPOPを描いていたのですが、

展示を増やしすぎて、大変になってきました。

そこで今年度から少し簡略化することにしました。

 

同じデザイン、同じ大きさのPOPカードを作り、

黒のペン1本で簡単な紹介文を描いています。

1分あればPOPが書けます。

 

大きさは、1枚あたりB6サイズです。(はがきより少し大きいくらい)

色画用紙に枠を印刷しています。

画用紙がB4より少し大きいサイズのためBサイズで作っています。

Aサイズの用紙しかない学校もあるそうなので、

そこは学校に合わせてくださいね。

 

画用紙の色は黒マジックが目立ちやすい

水色、黄緑、紫、オレンジ、ピンクなどを使っています。

展示に合わせて色を変えて使っています。

オレンジや紫などは薄めの色を選んでいます。

 

枠を印刷した画用紙に黒マジックで文字を書きます。

 

書架の工夫

・分類の看板を掲示

棚差しの看板しかなかったので、A3で大きく作りました。

UDフォントの文字+ピクトグラムにして

分かりやすいように心がけました。

Twitterでもつぶやいていたように

キハラさんのピクトグラムを使用しています。

 

・書架に作家名を掲示

人気作家さんの本がある場所を掲示しました。

借りたい人にも分かりやすいですし、

図書委員さんが配架する時にも分かりやすいと思います。


・移籍、除籍をする

古くなった本は書庫に配置変えをしたり、

思い切って除籍・廃棄をしたりしました。

 

古い本がなくなると、新しい本が目立ちますし、

新しい本が増えたようにも見えます。

 

書架の空いたスペースは詰めずに、

ゆったりとした配架にしました。

空いた場所は面だし(表紙をみせて展示する)

スペースとして使っています。

 

移籍、除籍は昨年度7月頃から取り組みはじめ、

一部、今も作業に取りかかれていない所もありますが、

まとまった時間をみつけて作業したいです。

 

おわりに

昨年度から取り組んできたことをまとめました。

書き出してみるとたくさんありました。

 

図書館に来た生徒が「きれいになった?!」

「本が増えた?!」「場所変わった?!」と

声をかけてくれることもあります。

こうして声に出したくなるほど

変化を感じてくれるのはとても嬉しいです。

またこれからも工夫していきたいです。

 

何かの参考になれば幸いです。